影と『ドッペルゲンゲル』。私はこの二つに、月夜になれば憑かれるんですよ。
満月の夜、療養で訪れた土地の砂浜で私はK君と出会った。
梶井基次郎の『Kの昇天』が、
美しい空間の色彩構成で叙情的な余韻のある作風で知られ、
書籍の装画などで活躍する
イラストレーター・しらこによって描かれる。
名作文学と現代の美麗なイラストが融合した、珠玉のコラボレーション・シリーズ。
自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊。
工程1
工程2
物語を通して重要な役割をもつ「月」を、なるべく印象的に、かつシンプルに見せたいと考え、このような構図にしました。同時に、この物語の物憂げで神秘的な雰囲気も感じていただけたら嬉しいです。
工程1
工程2
浜辺を歩くシーンでは、打ちつける波や水しぶきを単純化して描きつつ、それでも波の音が感じられるような絵を目指しました。絵本を通して何度か波のシーンが出てくるので、それぞれの雰囲気の違い、聞こえてくる音の違いを感じていただけたら嬉しいです。
しらこさんからのコメント
物語のほとんどが浜辺の上で進行していくので、単調にならないよう、シーンごとに構図を変えて、色々な角度から描くことを意識しました。美しく静謐で、どこか不思議な物語を楽しんでください。