カズオ・イシグロ入門
2017年ノーベル文学賞受賞作家の作品の謎に迫る、いちばん読みやすい解説書が登場! !
2017年10月、突然のニュースに日本が大騒ぎになりました。
カズオ・イシグロのノーベル文学賞受賞。海外文学ファンは驚き、一般の人は「日本人っぽい名前だけど、誰?」となったのは記憶に新しいです。
そんなカズオ・イシグロの生い立ちから作品世界まで、その実像に迫る解説書ができました。
今回の受賞でイシグロのことを知った人も、『日の名残り』や『わたしを離さないで』なら読んだことがあるという人も楽しめる、イシグロ・ワールドへ読者を誘う、読みやすい1冊です。
【本書のポイント】
・以前からノーベル文学賞受賞を予言していた専門家による解説書
・イシグロを読んだことがない人でも楽しめます
・イシグロを読んだけど難しかった人には副読本として役立ちます
・単著なので、ムックや特集よりも内容が一貫していて深いです
【目次】
■まえがき ノーベル文学賞受賞作家の謎に迫る
どうしてイシグロがノーベル文学賞を受賞したのか
読みやすい語り口
親しみやすさと社会問題
本書の使い方
イシグロと村上春樹
■第一章 イシグロとは誰か
石黒一雄からカズオ・イシグロへ
イシグロ、ロックを志す
作家としての出発
賛否両論の新境地
イシグロと映画
イシグロの「日本らしさ」
普遍的な作家として
■第二章 日本語で読める全作品あらすじ
『遠い山なみの光』
『浮世の画家』
『日の名残り』
『充たされざる者』
『わたしたちが孤児だったころ』
『わたしを離さないで』
『夜想曲集−−音楽と夕暮れをめぐる五つの物語』
『忘れられた巨人』
その他の短編
■第三章 テーマで読み解くイシグロの謎
1.イシグロと記憶
2.イシグロと「信頼できない語り手」
3.イシグロとコピー
4.イシグロと仕事
5.イシグロと「マウンティング女子」
■第四章 イシグロと日本
1.『遠い山なみの光』と『浮世の画家』の舞台はなぜ日本なのか
イシグロの描く日本
舞台をどこに設定するか
2.複製としての日本
借り物の知識で日本を作る
川端康成から借りた日本
小津映画の影響
3.日本人読者が覚えた違和感
現実とのズレ
イシグロ世界の矛盾
4.日本をめぐる矛盾
日本について知らないことは悪いことなのか
イシグロの怒り
イギリス人への皮肉
イシグロの分身は誰か
初期作品に隠されたヒント
人工的な日本
5.ステレオタイプを愛好する登場人物たち
ステレオタイプを利用する
日本を西洋的に描く
6.日本性を商品化した作家
作家としての順風満帆なキャリア
「私の中の"特別な日本"」とは
「イシグロの日本」問題の解決
ステレオタイプとメタフィクション
「日系」という商品価値
イシグロが日本を描いた本当の理由
■第五章 イシグロと音楽
1.奇妙な小説
賛否両論の長編小説
イシグロ最大の実験小説
2.カフカと主人公の分身
イシグロとカフカ
他人の心が読める主人公
第一の不安:家庭の不和
第二の不安:突然救世主扱いされる
第三の不安:妻との関係
他の長編との共通点
3.芸術家小説のコピー
カフカ以外の元ネタ
他の小説から登場人物の名前を借りる
芸術家小説の共通点
4.芸術家らしくない主人公
本当に偉大なピアニストなの?
ピアノを弾かないピアニスト
本当は音楽に詳しくない?
意味不明な音楽議論
苦悩の少ない芸術家
5.蔑まれる芸術
芸術なんていらない
小説による音楽ジャンルの使い分け
現代音楽とは何か
現代音楽の難解さとリンクする『充たされざる者』
謎のスピーチ
演奏しなくとも怒られないピアニスト
6.自嘲する芸術家
『日の名残り』大ヒットの代償
サッカー選手の名前を借用
『嘆きの天使』からの借用
芸術はもう誰にも必要とされていないのか
犬のお葬式のためのピアニスト
■付録 映像化されたイシグロ作品リスト
■参考文献一覧
■あとがき
日吉 信貴(ひよし のぶたか)
1984年愛知県生まれ。神田外語大学、千葉商科大学非常勤講師。東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻修士課程修了。共著に『ノーベル文学賞にもっとも近い作家たち』(イシグロを担当)がある。
- 著
- 日吉 信貴
- 定価
- 1,430円(本体1,300円+税10%)
- 仕様
- 四六判 / 192ページ
- 発売日
- ISBN
- 9784845631704