立東舎

戦争と芸術

美の恐怖と幻影

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フジタからリヒターまで、芸術作品に表された戦争の姿を解剖する

京都造形芸術大学国際藝術研究センター所長として著者自身がキュレーターを務めた「戦争と芸術」展は、同大学アートスペースにて4回にわたって企画され、藤田嗣治、中村研一、横尾忠則、草間彌生、杉本博司、宮島達男、山口晃、Mr.(ミスター)、トマス・デマンド、ダレン・アーモンド、ポール・ヴィリリオなど、古今東西のアーティストの作品を展示し、大きな話題となりました。本書は、この「戦争と芸術」展のカタログを元に19アーティストの38作品を厳選して掲載、そこに表された戦争の姿を解明していきます。また、浅田彰、針生一郎、田原総一朗、Mr.(ミスター)、相澤淳(防衛省防衛研究所)らと著者の鼎談・対談も収録し、「戦争と芸術」を多角的に検証。太平洋戦争時の戦争画だけではなく、広い視野で「戦争と芸術」の間にある一筋縄ではいかない関係性を明らかにする野心作です。

【CONTENTS】
◎第一章:戦争画
◎第二章:終わらない戦後
◎第三章:イメージにおける戦争
◎「美の恐怖と幻影」戦争画十選
◎対談・鼎談:鼎談「封印された戦争画」針生一郎+浅田彰+飯田高誉、
 対談「戦争と芸術」田原総一朗+飯田高誉、
 鼎談「私たちにとって戦争のリアリティとは?」Mr.+相澤淳+飯田高誉

<付録>
 年表 世界・国内の出来事と戦争・核問題

<図版掲載作品>
◎藤田嗣治《南昌新飛行場爆撃ノ図》《南昌飛行場の焼打》《サイパン島同胞臣節を全うす》《重爆》
◎中村研一《神風特別攻撃隊の海軍機の活躍》《マレー沖海戦》《北九州上空野辺軍曹機の体当たりB29二機を撃墜す》
◎草間彌生《戦争》《無名戦士の墓》《戦争の津波》
◎細江英公《写真絵巻—死の灰》《へそと原爆》
◎中西夏之《人間の地図》
◎杉本博司《旭日照波》《アインシュタインタワー》《ワールドトレードセンター》
◎横尾忠則《戦後》《神風恍惚切根之図》《1945年、夏》
◎宮島達男《アウシュビッツへのタイム・トレインNo.2》
◎ダレン・アーモンド《夜+霧》
◎太郎千恵蔵《隅田川 元雅に捧ぐ、あるいはWTC》
◎トマス・デマンド《Attempt》
◎山口晃〈日清日露戦役擬畫〉より《二十八サンチ砲》
◎大庭大介《究極の武器(モンスター)》
◎ヤノベケンジ《アトムスーツプロジェクト:大地のアンテナ》
◎名和晃平《PixCell-Toy-Machine Gun(SIG552)》《PixCell-Toy-Machine Gun(COMMAND)》
◎戦闘機プロジェクト《日常》《コンセプチュアルコーヒー》《MEMO》
◎Mr.《スターティングオーバー》《まだまだ若いチームです》《誰も死なない》《うさぎ組チームのサバイバルゲーム服、防具、靴、拳銃、拳銃鞄、小物》
◎AES+F《LAST RIOT 2, PANORAMA #4》
◎ゲルハルト・リヒター《September》《Dead》

■坂本龍一さんより推薦コメントをいただきました!

これらの戦争画、あるいは戦争に関係する作品は見るものを深く考えさせる。
どうして人間はこれほどまでに闘いを好むのか?
戦争を描いた藤田嗣治の絵は、単に戦意を高揚させるプロパガンダでしかなかったのか?
ぼくは常々、芸術とは死んだ者への哀惜の念から生まれると思っている。ネアンデルタール人が死者に花びらをそえたように。もう永久に帰ってこないものへの呼びかけであり、永遠に対する儚い希求なのだ。
永遠に対する憧れ、そしてそれを否定するかのような闘いへの欲求、人間のもつこのような両義性がまさに芸術を生むのだろう。
――坂本龍一

[インタビュー]

芸術作品を通すことで、世界のありようが分かる 飯田高誉インタビュー

著者
飯田 高誉
定価
2,750円(本体2,500円+税10%)
仕様
A5判/288ページ
発売日
ISBN
9784845627752

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