ゴシックハート

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死と暗黒、耽美と残酷に彩られたゴシック世界の全貌を、澁澤龍彦・中井英夫の後継が描いた本格ゴシック評論、待望の文庫化!

これから私はゴシックな意識について語ろうと思う——。
「ゴシック」とは何か? 文学、絵画、写真、映画、マンガ、アニメなど、ジャンルを超えて分析していく本書は、死と暗黒、怪奇と恐怖、残酷、異形、廃墟と終末などに象徴される精神の形を起源から辿り、その現代的意味と価値を明らかにする本格評論だ。
色ならば黒。時間なら夜か夕暮れ。場所は文字どおりゴシック建築の中か、それに準ずるような荒涼感と薄暗さを持つ廃墟や古い建築物のあるところ。現代より過去。ヨーロッパの中世。古めかしい装い。温かみより冷たさ。猟奇的なもの。頽廃的なもの。あるいは一転して無垢なものへの憧憬。その表現としての人形。少女趣味。様式美の尊重。西洋由来の神秘的イメージ……。そんな世界に惹かれるあなたは、まぎれもなく「ゴシックハート」の持ち主なのである。

巻末には、アーバンギャルドのボーカルとして活躍する浜崎容子が解説文を寄稿。
カバーイラストは、『魔法少女まどか☆マギカ』などで知られる劇団イヌカレー・泥犬が担当。

【目次】
1 ゴシックの精神
1ゴシックハート
2ゴシックの歴史
3現在のゴシック

2 人外
1「人外」の心——中井英夫、江戸川乱歩
2フランケンシュタインズ・モンスターの「人外」
3吸血鬼の「人外」

3 怪奇と恐怖
1怪奇への愛——『アッシャー家の崩壊』
2恐怖の探求

4 様式美
1「ゴシック耽美主義」の文学——三島由紀夫、澁澤龍彦
2絵画・映像のゴシック耽美——建石修志、村上芳正、ウィトキン、シジスモンディ

5 残酷
1ゴシックな残酷さ——『責苦の庭』
2江戸川乱歩の作法——『残虐への郷愁』
3サドとその後裔——『悪徳の栄え』『マルドロールの歌』

6 身体
1肉体という呪縛
2サイボーグ的超越——『攻殻機動隊』『銃夢』
3権力としての美貌
4選ばれなかった者の挑戦——『へルター・スケルター』

7 猟奇
1人体への執着
2身体欠損をめぐる物語——『芋虫』『使い切った男』『蠅男』
3死体を介した連帯——S・キング

8 異形
1醜さと不幸——『のろいの館』
2醜さと悪——『みにくい悪魔』
3姉妹の物語——『おそれ』

9 両性具有
1両性具有を望む精神——マリリン・マンソン
2天使/小悪魔のゲーム——浅田彰
3カストラートという性——『ポルポリーノ』

10 人形
1球体関節人形の起源——ハンス・ベルメール
2ゴシック・ドール——四谷シモン、三浦悦子
3人形化願望——『O嬢の物語』『DOLL』
4人形主義——マリオ・A

11 廃墟と終末
1廃墟を愛する心——レーンドルフ、フリードリヒ、グラック、稲垣足穂
2世界の終わり——モンスー・デジデーリオ
3救済のない黙示録——『デビルマン』
4あてのない世界改変——『新世紀エヴァンゲリオン』
5中井英夫とグノーシス主義

12 幻想
1過度の想像力と文学
2日本幻想文学の自覚
3ゴシック・シュルレアリスム——キャリントン、バロ

エピローグ ゴシックな記憶

あとがき

文庫版あとがき

解説「誰もが知らぬ間に悲劇のヒロインに抜擢されている」浜崎容子(アーバンギャルド)


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著者プロフィール

高原英理

1959年、三重県生まれ。小説家、文芸評論家。立教大学文学部卒業。東京工業大学大学院博士課程修了(価値システム専攻)。1985年、小説「少女のための鏖殺作法」で幻想文学新人賞受賞(選考委員は澁澤龍彦・中井英夫)。1996年、三島由紀夫と江戸川乱歩を論じた評論「語りの事故現場」で群像新人賞評論部門優秀作を受賞。著書に『不機嫌な姫とブルックナー団』(講談社)、『うさと私』(書肆侃侃房)、『ゴシックスピリット』(朝日新聞社)、『抒情的恐怖群』(毎日新聞社)、編著に『リテラリーゴシック・イン・ジャパン——文学的ゴシック作品選』(ちくま文庫)など。

著者
高原 英理
定価
972円(本体900円+税)
仕様
A6判/320ページ
発売日
ISBN
9784845629848

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